たくはつ碗 つや白

個性というものは
シンディローパー VS マドンナ みたいな派手派手対決ではなく
同じことを同じように正確にやっても
なんかそれぞれの味わいが勝手に出てしまう。
というようなことだ、ということは

現代美術の世界ではよくテーマになっていたのですが
(モノ派、ミニマリズム)

産業陶器の世界で深く深く実感することとなりました。

松原工房の通った佐賀県の焼き物学校は
芸術家を育成するところではなく、焼き物後継者育成の機関だったので
正確に技術をマスターすることに重きが置かれていました。
ろくろコースでは
バリバリ昭和スタイルの蓋付飯碗(そもそも食卓で使わないアイテム)
を先生の見本と寸分違わぬよう、5客揃えるというのが
卒業制作で、そもそも一年間かけて卒業制作を作るのでした。

そこに個性なんて微塵もない。

と思いきや
卒業制作展では
ズラーリと並ぶ真白な蓋付飯碗を(お客さんは全然面白くない)
製作者たちはかなり遠目から見ても
どれが誰のか、ハッキリわかるのでした。
個性って殺しても殺しても
自然と滲み出ちゃうものなのよ。

松原工房は太田さんがロクロ、奥田さんが絵付け、の
分業体制でしたが、初期の頃は共同で作ることや、業務が入れ替わることもありました。
だんだん製品のクオリティを一致させなければいけない、ということと
作業の効率化で分業決定となりましたが、
この「たくはつ碗」は分業ギリギリまで奥田もろくろを引いていました。

太田さんにしたら遅いし、下手だし、
早く変われ!って感じだったと思います。
けれどロクロは楽しいし、私だってうまくなりたい!という気持ちで
粘っていました。でもおくだの個性がより発揮されたのは
やっぱり分業後ですよね、

もし、初期の頃のたくはつ碗で
奥田が引いたものがまだ残っていたら
私は100メートル先からでも見分けられると思います。

もちろん、これは太田さんが
熟練の技で引いたものです。


高さ約5.6cm 直径約7.8cm
容量(満量)150cc
持った時のサイズはこんな感じ

ろくろ成型・つやあり
手づくりのため、多少の個体差があります
販売価格 1,944円
在庫数 売り切れました
SOLD OUT

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