耳つきボウル トルコブルー

昭和〜平成の食器の変化で
「これは大きな変化だな」と感じることは
食器の「専門性」についてです。

昭和時代はカレーは「カレー皿」、ラーメンは「ラーメン丼」、
茶碗蒸しは「茶碗蒸し」
その食器の目的が専門で、明快でした。

平成になり、食器は和洋中を飛び越え、オールマイティ、
ハレとケの区別さえなくなっていきました。
これは家族構成の変遷と住宅事情、家具事情にもよるのですが、
今では「何々用の器」というのはお家の中でも
かなり減ったのではないでしょうか。
暮らしの変化でツールは変わり、ツールの変化で暮らしは変わります。

少しさみしいような気もしますが、
何々でなくてはならない、というのは
何につけ、窮屈で保守的なものです。
食器は専門性から解き放たれることで
明らかにモダンに、便利になりました。

さらに平成末期の頃に
私が食器産地で肌で感じていたのは
「食器のデザインの機能からも、専門性がなくなった」ということです。

どういうことかというと、
片口から液体を注がなかったり
取っ手はあるけど使わなかったり
急須の茶こしが取り外しできるような
食器の使い方が、おかしなことではなくなったのです。

それは
片口は如何に注ぎやすく、
取っ手は持ちやすく、
茶こしは茶殻がうまく漉せるように
考えて考えて作ってきた職人をいとも易々と飛び越えて
こんな風に使うと楽しいよ!!の風でした。

それを批判し、嘆くことは容易いことです。

しかし
楽しさに勝るものはありません。
楽しいことは自由なことです。

この耳付きボウルを作りはじめた2010年ごろは
「この耳を持たなくてはいけない」とみんな思い込んでいました。
「スープ用?」「子ども用?」と言われていました。
けれど2015年頃から、この形そのものが良い、と買って行く方が増えました。
これは「耳の付いたボウル」なのです。
ああ、時代は変わったなあ、と心から思いました。

一つのジャンルにずっといると定点観測することができます。

この耳付きボウルは
「〜〜せねばならない」が時代とともに変わっていくということを
身を以て教えてくれた器でした。

さあ、今、これから、どのように使いましょうか。


おそろいのれんげスプーンもあります。

直径10cm 高さ6cm
容量(満量)250cc

ろくろ成型・手描き絵付け・マット

手づくりのため、多少の個体差があります。

トルコブルーの釉薬の特質上、
結晶の様なキラキラや小さなクレーター粒が出ていることがありますが、
使用には問題ありません。景色としてお楽しみください。
販売価格 3,888円
在庫数 売り切れました
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