れんげスプーン トルコブルー

手作り、手描きを謳う松原工房でしたが
「全部手作りなんですか?」とキラキラ尋ねられたとき
「・・・はい。」

とちょっとためらったのは
このれんげスプーンの存在のせいです。

このスプーンは
「鋳込み成型」という技法で作られており、
半製品の状態を専門の業者さんから仕入れていました。

もちろんその業者さんがせっせと手作りされているのですが
お客さんが「手作り」にときめくのは
目の前の私が、アナログに、指を動かして向き合っていると
想像するからなのだ、と思うので

「・・・はい。」と点々が入っていました。

そのことが心苦しくて生産をやめようと
思ったことが実は何度もありました。
しかしこのレンゲは機能性がよく、リピートでお買い上げもものすごく多く、
ファンの多い製品だったので
ズルズルと作り続けておりました。

しかしその業者さんにあるとき、
はっきり言われたのです。

「これは鋳込み技法で作るから、使いやすいのだ。
君らはロクロの美しさを追求したらいい。
でも食器にはいろんなアイテムがあり、それにふさわしい作り方がある。
僕らは『鋳込み技法で作るからこそ良いもの』を選んで作ってる。
だから遠慮なくそれを仕入れて
かっこよく装飾して高く売ったらいいんだ」

ああ、産地って素敵じゃないですか。

分業って、人を奴隷みたいにもするし、貴族みたいにもするんですよ。

そもそも世界はすべて分業で成り立ってるような気がします。

そのことに気づいたのは
松原工房でも解散を決めた最後の最後の頃でした。


これが<松原工房>のれんげスプーンです。

手元にあるのは、もうこれだけです。


長さ11.7cm
持った時のサイズはこんな感じ

鋳込み成型・手描き絵付け・マット
手づくりのため、多少の個体差があります。

トルコブルーの釉薬の特質上、
結晶の様なキラキラや小さなクレーター粒が出ていることがありますが、
使用には問題ありません。景色としてお楽しみください。
販売価格 864円
在庫数 売り切れました
SOLD OUT

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